子供の頃の僕は、
うまくいかないものを前にすると、
黙って奥へ押し込んでしまう癖があった。
言い訳は、
作ろうとしなくても出てきた。
あれから時間が経って、
大人になったはずなのに、
同じ動きがまだ残っている。
触れるたびに、
思った形から少しずつ外れていく。
うまくいかない、というより、
こちらの都合が通らない。
頭の片隅で、
同じ音だけが擦れている。
それでも、
やめたくない。
綺麗にしたいわけじゃない。
完成させたいわけでもない。
ただ、
この抵抗を前にして、
一度、もがいてみたかった。
暗いままでも、
動いているあいだだけは、
少しだけ呼吸が続く。
今は、
それだけだった。
—
小さな灯:
擦れる音は、まだ生きている証拠かもしれない。


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